日米技術サービス

Nichibei Science & Engineering Technical Service

From New York / North Carolina / USA


お問い合わせ
Contact

Powered by Triangle Park Science & Engineering

 

 

アメリカ自動車コラム

<No.139_041205> 題目:宇宙旅行を実現させた男・バート・ルータン

今年の9月と10月に、アメリカのモハーベ砂漠から、民間企業初の宇宙往還に成功した「スペースシップ・ワン」の設計をした人、バート・ルータン氏を紹介したいと思います。

彼の若いころは、NASAのパイロット(航空エンジニア)であったようで、その頃、飛行訓練をするよりか、自宅のガレージで、自分の手で飛行機を創ることにほうが面白いことに気づき、現在の彼の設計スタイル「ガレージから空へ」が形成されていきました。。。

彼の設計した飛行機はどれも独創的な形をしており、軽くて効率よく飛べるのが特徴です。

彼の名を一躍有名にしたのが、1986年に9日間無給油で世界一周飛行をした「ボイジャー」です。あの翼が薄くて長いのが特徴の飛行機です。

最近ではこれの改良型で、「グローバル・フライヤー」という、ジェットエンジン1個、燃料7200kg足らずで、80時間で世界一周する飛行機も飛ばしました。

そして、「スペースシップ・ワン」。

これも極限まで軽く、効率よく安く飛ばせることを目標に、開発費も25億円程度で成功させました。

1960年代のNASAのマーキューリー計画(アメリカ人を大気圏外に送るプロジェクト)が現在の価値換算で2500億円使いましたから、その100分の1のコストで達成したことになります。

スペースシップ・ワンの開発過程も彼独自のガレージ技術が生きており、普通は機体は風洞試験を経てから実際に飛ばすのですが、彼の場合、もっと簡単に、自分で小さい模型飛行機を作って飛ばしたり、ピックアップトラックの前に翼の模型を取り付け、車を走らせながら翼まわりの風の流れを見たりと、とにかく、NASAや大学や大手企業の力を借りず、設計を行ってました。

宇宙飛行訓練も、映画にでてくるような大掛かりな装置を使わず、小さな飛行機に乗って、旋回したり、きりもみ飛行をしたりして、ロケットエンジンで上昇するときの重力を訓練したのです。

また、「スペースシップ・ワン」自体も手動操縦、通信もNASAや衛星をを使わず、自前の装置でやってのけました。

彼の合言葉は「NASAを蹴り倒せ!」。彼を見ると、まだアメリカも捨てたものではない、という気がします。

 

日米技術サービス メインページ


 
Established: Mon, Feb. 7, 2007.