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アメリカ自動車コラム
<No.175_070225> 題目:アメリカ永住権(グリーン・カード)への道
先月末ですが、私もやっとアメリカの永住権(グリーン・カード)が取れました。 市民権とは違い、選挙権がないなどの制限はありますが、日本の国籍を維持しながら、特別なビザ(滞在・労働許可)が無くてもアメリカで働くことができるので、選択肢が増えて、少しは自由になった、という感じでしょうか。 日本の自動車会社など、日本のメーカー進出の波に乗って、アメリカに駐在や出張で来た人の中で、アメリカに永住したいと思っている人や、これからアメリカで働いてみたい、という人がいると思います。そういう方のため、今回は最近のビザ・永住権の状況を4回に分けて紹介します。 私もアメリカに来て、ビザを経て永住権を取るまで6年半かかりましたが、いきなり永住権を取る、というのは、アメリカ人と結婚するか、永住権宝くじで当てるかしないと難しいです。 日本からアメリカにきて働いている人の大半は、一度、語学学校や大学などに入って、地盤をそろえてから、働き始めています。地盤とは、社会保障番号(Social Security Number)と運転免許証を取得するといことです。特に運転免許証は、飛行機に乗るときにも、スーパーでお酒を買うときにも、パスポートの代わりのIDとして使えるので、重要アイテムです。社会保障番号は、働くときの労働局や税務局への書類に必要となります。 さて、語学学校等で、地盤をそろえたら、就職活動ですが、日本人向けの情報誌(USフロントライン、NYジャピオン等)に求人広告がのってるので、それで探すのが早道と思います。直接アメリカ企業にコンタクトする、という手もありますが、永住権がまだ無い場合、特別な滞在・就業ビザが必要となるので、アメリカ企業の人事部(HR)と交渉することになります。アメリカ企業の人事部はビザの取り方も知らないところがほとんどなので、よほどコネがないと難しいと思います。 さてこのビザですが、基本的には会社がスポンサーとなって発行されます。 企業の内容と本人の資格によって色々な種類のものがありますが、日本人はH1-BビザかEビザを取って働いている人が多いです。H1-Bは年間の発行数が決まっているため、発行数が上限にくると、翌年の発行開始まで待たなければならず、早く働き手が欲しい企業は、ビザが取れないと採用を見送ることもあります。Eビザは、日系企業で、採用を募集しているカテゴリーに、本人が専門性を持っていることが必要なります。割と大学卒のエンジニアは承認される確率が高く、文系や事務職などは狭き門となっているようです。 なぜか、英語が苦手な理系エンジニアのほうが、英語の得意な文系の人よりも働くチャンスが高いと思います。
さて、採用も内定し、就業・滞在ビザ取得の段階で、移民弁護士が登場します。 大学や専門学校以外の民間で、ビザを移民局(USCIS)に申請するときは、この移民弁護士を経由して申請しないと、却下される確率が高くなります。この移民弁護士が曲者で、ちゃんと経験と能力のある人を選ばないと、弁護士が準備した、申請書類に不備があったり、記述が不適切だったりすると、ビザが下りるまで、時間がかかったり、最悪、却下されることがあります。特に、会社の仕事と本人の経験があまりマッチしないときは、腕のいい弁護士を探さなければなりません。私の場合、この弁護士が大失敗をしたので、一度、労働許可を却下されました。(この話はのちほど。。。) 私は、このプロセスの成否が、アメリカで仕事をし続けることが出来るか、やっぱり日本へ帰れなければならないのか、という判断の境目だと思います。 さあ、この弁護士選びも終り、会社の人事部とも話しがつき、書類を申請すると、数ヶ月でビザが下ります。これは、手紙でくるので、次にパスポートにビザスタンプが必要となります。このビザスタンプがないと、滞在許可あったも、アメリカに入国することができません。そのため、アメリカ国外のアメリカ大使館か領事館でスタンプを取得するため、面接が必要となります。すでにアメリカ国内に居る場合は、近場のカナダへ行って面接して取ったりします。日本もカナダも面接には予約が必要で、カナダの場合、2ヶ月くらい前から予約を入れないと希望の日に取れないこともあります。 このビザスタンプが下りる晴れて、アメリカ働く最低ツールが揃うことになります。ビザは期限付き、会社付きなので、期限が近づいてきたり、転職したりすると、また移民弁護士のプロセスに戻らなければならず、何とも面倒なことです。 ビザでも十分、アメリカでも働くという目的を達成できますが、さらに、会社のスポンサーに関係なく、アメリカで自由に働きたいという人は、永住権取得への道がまってます。 ここまでの段階で、ラッキーにもアメリカ人と結婚したり、永住権宝くじに当たった人はいいですが、そうじゃない人は、会社がスポンサーとなってもらって、永住権を取得する道が残ってます。
この企業スポンサーの永住権、2年前まではRIRという方法があって時間はかかってますが、割と本人の資格が甘くても取得できる可能性がありました。今では、PERMという方法に変わり、資格審査が厳しい分、プロセスが早くなりました。私の場合、PERMに切り替わってすぐ申請したので、RIRで申請した人よりも早く永住権を取得できました。今はPERMでしか申請できないので、その方法について説明します。 まずは、会社との交渉です。会社に費用負担してもらって取得することができれば、会社の弁護士がプロセスすることになりますが、会社は名前とサインだけして、弁護士を含めた費用を本人が全額負担する場合は、自分で弁護士を探さなければなりません。現在の費用の相場は、弁護士と申請費用を含めて8000〜9000ドルならば、リーズナブルだと思います。 さて、弁護士も決まり、申請開始です。永住権(グリーンカード)を取るまでには大きく3段階に別れています。 1)労働許可、 PERMはリストされている専門性がなければ、申請は難しくなってます。アメリカの大学院を修了して修士号を持っている人は割と問題なくプロセスできますが、大学卒のみだと、自分の専門性を証明できる経験が必要です。具体的には、労働局の専門性リストと、大学の卒業学科の名前、会社の業務内容が一致していればベストです。この内一つが欠けている場合は、弁護士が本人の専門性について上手く書いてもらうことになります。この辺は弁護士の腕によるところもあり、いい弁護士を見つけて相談することになります。比較的にエンジニアは、日本の大学卒でもエンジニアリングの経験があれば、永住権取得の確率は高いようです。 <その4> 弁護士も申請に合意してもらったら、次は求人広告です。 なんで広告?と思いますが、労働許可を下ろすためには、本人が会社と社会にその専門性を持った人が他にいなく、その人が会社にいなければ、会社とアメリカ社会が困る、ということを証明しなければなりません。そのために、まずは、新聞求人広告、webサイトでの求人広告、会社内での求人広告をします。 求人条件で、日本人ならば「日本語ができるの人」というのが最大の武器となりますが、語学の制限は、後々のプロセスで引っかかって時間が掛かる可能性が高いので、できるだけ、2年程度の専門性の経験と専門性の内容(携わった製品やプロジェクトなど)、マネージャー経験、などを採用条件としたほうが早くプロセスが進むと思います。この辺も弁護士との相談となります。 求人広告から、労働許可を申請するまで、最低4,5ヶ月はかかり、このプロセスが一番忙しく、悩みも多いところです。私の場合、途中で弁護士を変えたり、一度、弁護士側の書類の不備で、労働許可を却下されたりしたので、3回も広告出しなおしをし、1年半費やしました。ここが忍耐しどころです。 さて、労働許可を申請して、すんなりいくと、最速で1ヶ月以内で許可がおります。ここで「日本語」の条件を入れたりすると、途中、調査(Audit)があったりして、許可が下りるまで半年くらいはかかります。この辺も弁護士の腕によるところが多いです。 労働許可が下りて、2)I-140、労働許可をもとに移民申請, 3)I-485、本人の適性とカード取得、のプロセスは比較的早いです。私の場合、許可がおりてからは半年くらいで取ることができました。3)の段階で、アメリカ国内で申請するか、日本のアメリカ大使館に申請しての面接するか、を選択できます。 昨年までは、日本のアメリカ大使館に申請して面接したほうが早いと言われてましたが、最近はアメリカ国内のプロセスも早くなっており、最速で1ヶ月程度でグリーンカードを取得できた人を知ってます。 今回は随分長いコラムとなりましたが、アメリカへ進出したい方の一助となればと思います。 |