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アメリカ自動車コラム

<No.186_070610> 題目:アメリカのガソリン高騰の裏側

またまた、アメリカもガソリンが値上がりです。

私の住んでいるニューヨークでは、現在1ガロンが3ドル50セントで、これを換算すると1リットルが100円を超えることになり、アメリカも日本並みのガソリン価格時代に突入したということでしょう。

さて、なんでアメリカもガソリン価格が高騰したか?
ということですが、裏側には様々な政治的思惑があるようです。

アメリカのエネルギー省長官は、原油が不足しているのではなく、ガソリン精製所不足によるもの、と説明してます。今年1月にブッシュ大統領が一般教書で、ガソリン燃料の代替として、バイオ燃料などを推進することを発表したため、石油会社がガソリン精製能力の拡大すると、将来ガソリンがだぶつく恐れがあるため、投資を渋っているということです。

アメリカの人口も昨年10月に3億人を突破し、ガソリンの使用量が増加しているのにもかかわらず、精製能力を拡大していないため、ガソリン不足がおこり、値段が高騰した、という結果とも言えるでしょう。

また、この高騰は、アメリカのエネルギー政策の大きな変換点とも言えるでしょう。バイオ燃料だけではなく、ハイブリッド車の奨励、水素燃料や代替燃料の研究開発を推し進め、2025年までに、中近東からの石油輸入を75%以上削減する方針をすでに打ち出しています。

アメリカ議会も、ゼネラル・モータースやクライスラーを救済することなく、自動車メーカーも燃費の良い車を作らなければ、生き残れない時代にする方向であり、最近審議されている、一番厳しい法案は、乗用車と小型トラックともに、全車種の平均燃費を、1リッター15キロ(1ガロン35マイル)に引き上げることを求めるものです。

今後は間違いなく、ガソリンを始め、石油製品の使用量は増やさず、減らしたい、というのがアメリカ議会の本音なのでしょう。

でもなんで今ごろ。。。という感がありますが、これは、イラク問題、ロシアのエネルギー権拡大、中国への経済戦略など、世界政治の見地とも密接に関係していると思います。

特にイラク情勢や進まない中東諸国の民主化へのいらだちからくる、中近東産の石油依存を脱したい、という思惑は非常に強いようです。さらに世界的な気候の変化で、アメリカ・メキシコ湾岸への大型ハリケーン襲来増加が予想され、精製所の被害増加、一時的な供給停止による、ガソリン高騰の可能性も報告されています。本気でアメリカは、ガソリン消費量を増やす気はないということでしょう。

ちなみに、アメリカでは、ガソリンが1ガロン3ドルを超えると、ディーゼル燃料のほうが安くなります。この状態が続くと、ハイブリッド車よりも、郊外で燃費の良いディーゼル乗用車のほうが、アメリカでは普及が進むかも知れませんね。

 

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