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アメリカ自動車コラム

<No.38_011113> 題目:エンジンリサーチセンタ(ERC)のエンジン研究

アメリカは、11月末の感謝祭(サンクス・ギビング)から来年の年明けのニューイヤーパーティーまで、一年で一番華やかな時期となります。

この時期は仕事そっちのけでイベントの準備をするため、仕事の進度が極端に遅くなりますから、仕事で海外と人とお付き合いをされている方は気をつけてください。

さて、私はこの秋から講義を3つほど取っており、その中の一つに日本でも名の知れたF教授の「応用燃焼」というクラスがあります。

日本だと燃焼というと自動車用エンジンが身近な対象となりますが、こちらでは飛行機やロケットエンジンも夢の中の話ではなく、具体的なジェットエンジンの計算問題なんかもあったりします。そんなときはさすがアメリカ...という感じがしますね。

またF教授も講義の中で「最近では燃料電池も出てきたが、化学反応の速度を考えると、高負荷(高速道路などでの走行状態を指す)性能はまだまた内燃機関が上」と言っておられるほどの熱血燃焼先生でもあります。講義も面白いです。

私が所属するERC(エンジンリサーチセンターの略)もいろいろな種類のエンジン研究をしているのですが、F教授の講義を通じて少しずつ理解できるようになってきました。

今日は最近ERCで(というよりF教授が)力を入れているHCCI(予混合圧縮自着火:Homogeneous Charge Compression Ignition)燃焼について簡単に紹介したいと思います。この研究は本年度の米エネルギー省の指定研究にもなっているようです。

このHCCI燃焼はガソリンエンジン向けで、排出される有害物質が極端に少ないことが特徴なのですが、その名の通り、「自着火」なのです。

また燃焼コンセプトとしては、燃料を思いっきり"轟々と"燃やすのではなく、火炎が見えるか見えない程度の低温で"そっと"燃やすことにより有害物質の生成を抑えるというもの。クリーンエンジンとして最近は随分と注目されているのですが、問題も多々あります。

それは高速・高負荷などのエンジンが力のいるときにHCCI燃焼が成り立たないということです。

独断でたとえるなら、弱火でおいしい中華料理は難しいといったところでしょうか??。

現在は燃料性状を変えたり、燃料と空気の混合状態を変えたりなどの試行錯誤をしており、徐々に燃焼領域を拡大しているところです。電気モータ駆動の自動車の良いのですが、内燃機関の運転を楽しみたい人もまだまだ多いと思います。

そういう方々のためにも、はやく弱火でおいしい中華料理のレシピが出来るといいですね。

 

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