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アメリカ自動車コラム

<No.43_011206> 題目:「セグウェイ」は夢の乗り物?

アメリカの発明家、ディーン・カーメイ氏が発明した2輪スクーター「セグウェイ」(開発コード名:ジンジャー)をもうご覧になりましたか?

このセグウェイ、「21世紀の夢の乗り物」というふれこみで公開されましたが、果たしてそうなのでしょうか?

まずはセグウェイの性能について簡単にご紹介したいと思います。通常は歩くよりちょっと速い、時速13kmで走行します。ハンドルとブレーキはなく、立ったままの状態で体を傾けることにより移動方向と速度を制御するという代物。またジャイロスコープ型センサ&ボードコンピュータで、2輪でも倒れないように姿勢を保持します。

動力はバッテリー+モータの組み合わせ、しかも両輪に独立して電動モータがついているため(モータを2個使っている)小回りも良いようです。値段は一般向けで1台37万円程度、1日当たりのコストは6円程度という驚きのプライス...

でも誰が使うのでしょうか?

一般向けの宣伝では、「ニューヨークなどの大都会で人が歩くのに取って代わる」、「救助隊が荷物を持って駆けつけるのに取って代わる」、はたまた、「電卓が紙と鉛筆に取って代わったように、歩くことに代わる」としてます。

ですが日本人のみなさんは、ちょっと違和感を感じませんか?。「歩いて用が済むのであれば、歩けばいい、と」。私もそう思います。

ではどこにビジネスチャンスがあるのでしょうか?

どうも老人や体の不自由な人向けも考えているようです。アメリカでは、体に障害があり何らかの補助動力を要求している人が、1996年現在で人口の19.7%、車椅子の使用者が30万人ほどいるそうです。最近は戦争や地域紛争で怪我をした人が増加したことから、現在のこの数はさらに増加しているだろうとのことです。この「セグウェイ」がゴルフ場のカート代わりで終わらないようにするためには、この分野の顧客開拓も睨んでいるようです。

この分野で需要はあるのでしょうか?

電動の車椅子は高性能なもので300万円もしますから、ある程度立って歩くことの出来る人には便利でお得な乗り物と思います。ルームメイトのマイクは、長距離の移動は車椅子でこなしているのですが、短い距離ならば立って歩くことができます。

マイクを見ていると、車椅子から立ち上がるとき、または車椅子に座るときが一番しんどそうに見えます。そういう面でも「セグウェイ」が立ったまま乗って移動できるというのは利点じゃないかと思います。

また「セグウェイ」が開発されるきっかけとなったものに「IBOT3000」(Johnson & Johnson社)と呼ばれる電動車椅子があります。これはセグウェイ同じ原理で制御されている6輪の車椅子なのですが、なんと座ったままで階段の上り下りをすることができます。

しかも4輪タイヤのシャーシ自体が上下に回転するため、2輪だけで立ち上がって、高い所の物を座ったままで取ることもできる優れものです。カーメイ氏はこれを見て「世界で一番洗練されたロボット」と絶賛しました。この車椅子のデモビデオを見ると、日本の企業が開発した犬型、猫型、人間型ロボットは技術的に優れてはいるのですが、「人の役に立つ」というロボット哲学の上ではまだ追いついていない感じを受けました。

この「セグウェイ」、広く普及するかどうかはまだわかりませんが、日頃立って歩くことが苦痛な人や歩くのに時間がかかる人にとっては、性能、値段ともに夢の乗り物なのかも知れません。自分も1台10万円を切れば両親に買ってもいいかと思いますが...

 

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